3/11~3/15 日経新聞の医療関係ニュースまとめ

今週の日経新聞には、病院で働くうえで頭に入れておいた方がよさそうなニュースがいくつか掲載されていました。記事を三つピックアップしてみましたので、週末の頭の情報整理によろしければどうぞ。

 

➀ 診療報酬、審査に地域差 独自の解釈7万件 不適切請求の見逃しも 厚労省、基準一本化へ(2019/3/12)

www.nikkei.com

 

簡単にまとめると…

・地域により、医療機関が請求する診療報酬が適切かどうかの審査にばらつきが生じている。

都道府県単位で置かれた支部が独自に解釈した審査基準が7万件に上り、2017年度の審査でみつけた不適切請求の割合は最大で5倍の開きがあった。

・不適切な請求が見逃されている懸念もぬぐえず、厚労省は全国のシステムを統合して審査基準を一本化する方針である。

 

医事課で日々レセプト管理に関わっているみなさまは「何を今更…」的なニュースだとは思いますが、各医療機関で同じように診療報酬を請求しても、審査機関によって査定されるかどうかの基準が異なるというのは、本当に困った話ですよね。

「全国のどこで治療を受けても、同じ水準・同じ値段で治療が受けられる」ということが、そもそもの国民皆保険制度の原点です。しかし、このように地域によって請求に関するお作法があるということが、難解な診療報酬制度をますます難しくしています。

厚労省側も、審査基準の統一と、コンピューター審査システムの刷新(2021年9月をめど)を進めるということなので、分かりやすく、スピード感のある診療報酬請求が各病院でできるよう、体制を整えてほしいものです。 

②「医療IT」かけ声倒れ 診療データ共有、登録1%どまり(2019/3/14)

www.nikkei.com

 

簡単にまとめると…
・ 診療データを病院間で共有する全国約210の地域ネットワークの登録患者数は、国内人口のわずか1%であることがわかった。
・国と自治体は医療費の抑制や患者の利便性向上を狙い、計530億円を超す公費を投じているが、重複医療を解消する効果が出ていない。
・医療IT政策の仕切り直しが必要である。
 
地域内・地域間での検査や薬剤処方の重複を防ぐためには、病院間のデータ共有が有効であり、国が地域医療情報連携ネットワークの整備を促しているようなのですが、結果を見るとその「ネットワーク」が乱立していて、補助金は膨らんでいるという状況とのこと。
記事にありましたが、北海道で44、大阪は23、東京は17と、県内でも多数のネットワークがあるようです。ひとつの都道府県で一つのネットワークとはなかなかいかないのですかね。。
電子カルテの普及率が全国レベルで見ると3割と低いうえに、導入している医療機関で個別カスタマイズもされているのが現状です。診療データのネットワーク構築という以前に、まず全国的な電子カルテの導入と標準的な活用がスタートラインになるのでしょうか。 

③ 高額医療機器の共用へ新指標 厚労省、19年度にも 検査のムダなくす(2019/3/14)www.nikkei.com

簡単にまとめると…

厚生労働省は磁気共鳴画像装置(MRI)など高額な医療機器について、近隣の病院間での共同利用を促す。

・地域ごとに住民の年齢構成や性別を加味して機器の過不足が分かる指標を作り、新規購入や機器の更新を検討する病院に提供する。

・国内の高額医療機器の配置数は主要国の中で多い。病院が稼働率を上げるために必要以上に検査を促す環境を改め、医療の効率化につなげる。

 

キーワードは「高額医療機器の共用」は、特にCT・MRIで撮影した画像を地域内で共有して閲覧できるようにすることに重きを置いているようです。「各医療機関での検査機器稼働率を高めて、不要な検査を増やしてしまうこと」を防ぎましょう、という趣旨の取り組みで、以下に厚労省の説明パワポと、実際の医療機関での取り組み例を挙げておきます。

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広島県三原赤十字病院での医療機器共同利用の案内

http://mihara.jrc.or.jp/renkei/renkeika/renkeika3/

 

そもそもとして、日本の医療機関には、他国と比べてもCTやMRIが多く設置されているようです。施設の充実ぶりを示すために高額な医療機器を置くケースもあるようで、患者に良い医療を提供するための医療機器が「客寄せパンダ」になっているという笑えない状況もあるようで…。

「高額な医療機器の購入制限」という強制的な措置には踏み込まないようですが、地域間で適切な共同利用をしている医療機関に対して、診療報酬でプラスの算定をしてあげるといった具合に、政策誘導的な取り組みも必要なのでは?と感じました。

 

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明日からまた1週間が始まります!頑張りましょう!