病院事務職員の転職活動記⑤:医事課以外の事務職員の転職市場は?

前回、前々回のブログでは医事課職員の転職市場をまとめてきましたが、今回は医事課以外の事務職員の転職市場について考察したいと思います。

前回までの記事はこちらから↓

medical-administrate.hatenablog.com

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医事課以外に、病院にはどのような事務部門があるの?

まず、そもそもどのような事務部門が病院にあるのかをざっくりまとめてみました。

医療連携部門

事務が担当するのはいわゆる「前方連携」と呼ばれる、クリニックへの開拓・営業や受診患者のコーディネートの業務です。特に地域医療機関との連携を通じた初診患者の集患は病院経営に直結する非常に重要な業務になります。

経理部門

いわゆる、イメージ通りの「経理課」です。日々の業務は病院全体のお金の流れの管理、プラスで年に一度の決算業務といった感じでしょうか。病院によっては予算に関して各部門との折衝を行ったりもしていると思います。

人事部門

大きく「採用」と「給与・労務管理」に仕事が分かれると思いますが、こちらもいわゆる「人事部」です。採用については病院で働く職種ごとに細分化されていて、特に医師や看護師の採用は診療体制にそのまま直結する仕事になります。

総務部門

病院によって業務範囲は様々ですが、行政対応(診療報酬関連の届出業務含む)や地域との窓口役、その他病院の担当部署が決まっていない業務を引き受けるという仕事が一般的なようです。

資材部門(用度課・物品管理課)

こちらは病院ならではの部門で、高額機器や診療材料の購入、また院内への医療材料の供給(SPDと呼ばれます)の管理が主な業務です。病院によっては滅菌業務を事務が担当することもあります。

教育研修部門

病院には、様々な職種のスタッフが入職してくるので、それぞれの専門性やキャリアに沿った教育、また院内全体で受けるべき教育をだれかがコーディネートする必要があります。これを担当するのが教育研修部門です。病院の規模や性質によっては人事と一体化しているところもあるかもしれません。

施設部門

文字通り、病院の施設管理を行う部署です。病院全体の設備投資の判断や工事のコーディネート、工事業者や委託業者との窓口役の業務がメインとなります。

情報システム部門

IT部門です。電子カルテの仕事とほぼ連動しているイメージですが、導入されている医事システムや部門システムの数によって業務の複雑性が高くなります。

診療情報管理部門

診療情報管理士が勤務し、一般的には診療録の監査、がん登録、DPCコーディングなどを行っています。そのほか、病院によっては医事課の一部だったり、システム部門の一部だったり、業務もデータの分析や抽出を行っていたり、病院によって環境はまちまちなイメージです。

 

転職活動の中で話題に上がってこなかった部門

転職コンサルタントとの面談や求人情報を見る中で、経理・資材管理・施設・システム分野の求人についてはあまり話を聞くことがありませんでした。単純に、私がその部署での経験がないから紹介されなかっただけなのかもしれませんが、ここについては「他業界からの転職組が活躍できるフィールド」と見なされているのかなとも思いました。

例えば、経理であれば一般企業の経理マンは病院の経理にもなじんでいけると思います。施設・システムは専門性の高い分野なので、他の業界のノウハウは病院でも大いに生かせるはずです。資材管理は、機器や材料の購入を経験した他業界のノウハウがそのまま生かせると思います。(製薬業者や医療機器メーカー出身者だと、医療に関する知識もあってなおよさそうです。)

病院に新卒で入った私がまだ関わったことのない部署ですが、単一部署の経験としてだけだと、強みとしてアピールするには少し弱いのかなと感じました。

 

市場価値の高そうな病院の部門や業務

転職コンサルタントとの面談の中で、市場価値が高そうと思ったのは以下の3つです。

➀新規クリニックの開拓・営業経験(医療連携部門)

先にも書いた通り、初診患者の集患は病院経営に直結する非常に重要な業務になります。特に急性期の病院は、初診患者をできるだけ多く集め、再診患者は地域と一緒に見るというスタイルでの運営になりますので、地域連携は必要不可欠です。クリニックへの開拓・営業を通じたネットワークづくりをできる人材は、どの病院でも不足しているような印象を受けました。

また、集患には医師の協力が不可欠であり、間接的に「医師を動かせるコミュニケーション力や業務遂行力があるのか」も見られているのかなと感じました。

②医師採用を通じた診療科体制の立て直し(人事部門)

二つ目は医師の採用の経験です。こちらは結構特殊スキルだと思いますが、院内の部長・教授クラスと協力し、診療科医師の採用を進め、診療体制を安定化させたり、建て直したりできる経験が重宝がられているようです。

こちらも➀と同様に、「病院経営に直結する業務であること」、また「医師を動かせるコミュニケーション力や業務遂行力が求められること」を間接的に問われていますと感じます。

③施設基準の管理や届出の経験(総務部門)

こちらの内容は、前回の記事で書いた医事課管理職の業務とも重なりますが、病院の診療体制から適切な施設基準の届出をして、また管理した実績はよく確認されました。①や②と比べると医事よりの仕事なので、医事課の人は欲張って個々の業務も経験できると病院職員としての市場価値が高まりそうです。

 

 

 

ちょっと長くなってきましたので今回はここまで!

次回は中間まとめとして、「転職活動を通じて感じた病院事務の未来」について考察します。