整形外科の先生のつぶやきと、お昼休みでの雑談
先日、レントゲン撮影に関する件で、放射線科の人と一緒に整形外科の部長のところに相談をしに行く機会がありました。本題は放射線検査におけるオーダーの入れ方を直してください、という話だったのですが、途中話が脱線してうちの病院の放射線検査の話になりました。
その部長は最近赴任されたばかりの先生だったのですが、いわく、「この病院は不要と思われるCT検査が多すぎる」とのこと。
救急外来に来た患者に「とりあえず」撮るCT、内科で入院する患者に撮る造影CTなどなど、「それ、本当に検査結果を次の診療に使うのか?」というような検査も非常に多かったそうです。
その日のお昼に、部署の人とお昼を食べていて「うちの放射線科の医師は人数が多いのでは?」という話を聞いていたのですが、その後の整形外科の先生の話を聞いて、点と点がつながった気がしました。
病院内での負のループが発生?
この二つの話から思うのは、
①診療部門の医師が「とりあえず放射線科で検査してもらう」という意識からオーダーを出す
③①と②が積み重なり、放射線科での検査が増えていく
④その結果、「人員が足りない!」という声が大きくなり、スタッフが増えていく
⑤スタッフが増えていき、診療部門の医師が放射線科を頼りやすくなる
こんなループが存在するのでは?、と考えました。
入院患者へのCT検査はDPCに包括されて収入になりませんし、外来患者へのCT検査も、過剰と見なされた場合は査定審査の対象となります。一方で、読影する医師には大きな人件費がかかります。
本来は中央検査部門である放射線科から、「この検査は収入にもつながらず、医学的にも必要性が低いです!」と定期的にアナウンスしてくれればよいのですが、今のところそのような動きがありません。むしろ、依頼された読影をさばくのに精いっぱいのような印象を受けます。
対処方法として「放射線検査を減らす」、「放射線検査を院外へ移す」、の二つを考えてみようと思います。
1.放射線検査を減らす
先程の流れでいうところの、「①とりあえず放射線科で検査してもらう」というポイントを見つめなおし、医学的に必要性が低いと思われる検査を減らすキャンペーンと、そのモニタリングをするという方法です。
「○○科の先生はほとんど検査をしないが、××科の先生は検査を多く依頼する」といったようなばらつきがあるようにも感じますので、病院の公式ルールを設定してそれを院内にアナウンスする。そしてその結果を幹部にフィードバックし、各診療科に下ろしていってもらう、というサイクルを繰り返していくのが効果的そうです。
2.放射線検査を院外へ移す
もう一つ考えられるのが、「緊急性の低い放射線検査を院外へ移す」ということです。
予定での放射線科検査は緊急性もなく、撮影した結果は1か月後の外来でお知らせします、というようなことも多いです。こういった、いわゆる「すぐに判断が必要な検査」でない内容は、検査だけ外部クリニックに委託する、という解決方法も考えられます。
例えば放射線科検査では、「メディカルスキャニング」という放射線科検査専門のクリニックがあり、CT/MRIを短い予約期間で撮影できると聞いています。
https://www.medicalscanning.net/index.html
こういった医療連携との協力で、必要な検査だけを院内で行う、という体制に近づけていくことが出来そうです。
これらの取り組みにより実現できそうなこと
「緊急性の高い患者に対して、すぐに検査を提供できる体制」
「医学的に必要性の低い検査の削減と、それによる効率的なオペレーション」、
そしてその結果として、「人件費削減」が達成できるのではないか、というストーリーを考えてみました。また将来的には、放射線機器の更新・新規購入を抑えることもできるかもしれません。
今回の話は、「人件費の抑制」という経営的な視点と、「医療の質・効率性を高めたい」という医療現場的な視点の双方から考えてみた内容です。やはり事務として働くうえで、この二つの視点を持ち合わせることが必要だということを改めて実感しました。
そしてこの話をどう進めていくか、、今後の自分の宿題になりそうです。