病院でのクレーマー対応に思うこと

病院で働いていると、本当にいろんな患者さんに出会います。

たとえば経済状況だけを見ても、「医療費ならいくらでも払うよ!一番いい個室に入れてくれ!」という患者さんから、路上生活をしていて一銭を払う準備もないような患者さんまで、本当に様々です。

そんな病院のなかで、一際対応に困る患者さんがいます。それが、世に言う「クレーマー」の患者さんです。

ここでいう「クレーマー」とは、他の患者さんにもお願いしていること(たとえば診察まで待ってもらうことや、受付の際の手続きなど)に対して、「自分がこの対応を受けるのは気に食わない!何とかしろ!」と喚きたてるような人のことを指します。

※病院の不手際で患者さんに不快な思いをさせてしまうケースについて書いている訳ではないので、ご了承ください。

 

もちろん、病院で改善の余地があることも重々承知していますし、実際にそれを改善するための取り組みや理解してもらうための説明もきちんと行っています。しかしそういったことを全く踏まえずに、周りで我慢している患者さんがいる中で、自分の都合のいい権利ばかりを主張するというのは、いかがなものなのでしょうか。

病院の不便さに少しずつ我慢してもらっている多くの患者さんに十分なフォローや声掛けができない一方で、クレーマーの患者さんに病院のシステムを一から向こうが納得するまで説明し、必要に応じて謝罪まですることには、どこかやりきれない思いを感じてしまいます。

 

こういった問題にまつわることで、僕の好きなエピソードがあります。

それは、太田総理という爆笑問題司会の政治討論番組で「不良による学級崩壊」がテーマに上がった番組を見ていた時のことです。パネリストとして出演していた義家弘介さん(自身も不良だったことのあり、ヤンキー先生と呼ばれている。現政治家)は、この問題に対して「不良に対して教師をマンツーマンでつけてフォローする」「不良に問題をわからせるために、ホームルームで何時間もかけて議論しあう」といった対策が有効であると主張していました。

これに対し伊集院さんはこう反論しました。「そうやって不良にリソースがどんどん割かれていく中で、勉強も運動も特にできるわけではない、真面目さが取り柄のような生徒はその状況をどのように理解すればいいのか?」

 

不良=クレーマーの患者さん、普通の生徒=一般の患者さんと置き換えると、上で話したような状況と重なるのではないかと感じます。

ここでの問題は、大きく三つあると思います。

1.目立つ問題ばかりに病院の意識とリソースが行ってしまい、目立ちにくい問題を拾い上げにくくなること。

2.「ゴネることで利益が生まれる」という勘違いが患者側に生まれる可能性があること。

3.医療現場のスタッフの疲弊につながり、結果的に医療の質低下を招きかねないこと。

 

おそらく、クレーマーに悩まされているのは病院だけではないはずです。

それこそ上記の事例のように、学校の不良対策問題についても、同じようなジレンマや問題があるのでしょう。

 

どの世界、時代にも、周りを騒がせる問題児を法に頼らずにどう処するか、というテーマについて、明確な答えを出せた人物はいないはずです。結局出たとこ勝負で、その場その場で手を打つ、というのが実は最も効率的なのでしょう…。なんだかむなしく感じてしまいます。

 

もちろん、こちらとしてやるべきことは、

1.そのようなクレーマーを極力生み出さないようにする効率的な運用を考えること

2.クレーマーが出た際の対応と、他の患者さんに迷惑をかけない手順を明確化すること

の二つだと思っています。これからも、努力、努力ですね…。

 

PS 患者さん側からの病院に対するご意見/ご提案があれば、ぜひコメントにて教えていただければとてもありがたいです。